栄香料の研究施設である「大泉研究所」が、東京大泉学園町につくられたのは

今から約50年前、昭和30年のことでした。

当時このあたりは国木田独歩の小説「武蔵野」に出てくるような美しい林が続き、

道々にも荷馬車のわだちが残るような素朴な景観が続いていました。

半世紀の歴史を持つこの研究施設には、「香り博士」とも呼べるほど

豊かな経験を持つ研究員、これから流行する「香りの波をつかめる」若き調香師、

経験と研ぎ澄まされた感覚を持った所員が多数います。

ベテランの調香師は3,000種もの香りを知識の泉から汲み取り、

500種以上の香りを聞き分け、使い分けることが可能です。

右の写真は「オルガン台」と呼ばれる調合台です。

調香師たちは、自分専用のオルガン台に向かい、

何十何百の調合を繰り返し、修正を重ねて処方を完成させます。

小さなエピソードがあります。

写真撮影をした時にカメラマンが瓶の位置を変えたり、補充をしたのですが、

撮影が終わった瞬間、調香師たちは直ぐさま指示を出し、

原料瓶の位置を正し、元に戻しました。

オーケストラの指揮者がタクトを振るように、 それは一瞬の腕の動きでした。

調香師だけが知っている規則正しい配置配列のボトルの中から、

世の中の人を驚かす新しい香りは奏でられるのです。